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第46回(平成26年)試験問題から   【択一式問題】
[リモコン]

 46択労基
働基準法及び労働安全衛生法
〔問〕  労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
 労働基準法第5条は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止しているが、必ずしも形式的な労働契約により労働関係が成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りるとされている。
 労働基準法第6条は、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しており、その規制対象は、使用者であるか否かを問わないが、処罰対象は、業として利益を得た法人又は当該法人のために実際の介入行為を行った行為者たる従業員に限定される。
 労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に、裁判員等の公の職務を執行するための必要な時間を請求した場合に、使用者に、当該労働時間に対応する賃金支払を保障しつつ、それを承認することを義務づけている。
 労働基準法第9条にいう「事業」とは、経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものであって、場所的観念によって決定されるべきものではない。
 労働基準法にいう「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいうと定義されている。
 解答  A

問2
〔問〕  労働基準法に定める解雇に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A  就業規則に定めた定年制が労働者の定年に達した日の翌日をもってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が終了する慣行になっていて、それが従業員にも徹底している場合には、その定年による雇用関係の終了は解雇ではないので、労働基準法第19条第1項に抵触しない。
B  労働基準法第20条に定める解雇の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。
C  試みの使用期間中の労働者を、雇入れの日から起算して14日以内に解雇する場合は、解雇の予告について定める労働基準法第20条の規定は適用されない。。
D  労働基準法第19条第1項に定める産前産後の女性に関する解雇制限について、同条に定める除外事由が存在しない状況において、産後8週間を経過しても休業している女性の場合については、その8週間及びその後の30日間が解雇してはならない期間となる。
E  平成26年9月30日の終了をもって、何ら手当を支払うことなく労働者を解雇しようとする使用者が同年9月1日に当該労働者にその予告をする場合は、労働基準法第20条第1項に抵触しない。
 解答  E

問3
〔問〕  労働基準法に定める賃金に関する次の記述のうち、労働基準法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
 賞与、家族手当、いわゆる解雇予告手当及び住宅手当は、労働基準法第11条で定義する賃金に含まれる。
 労働基準法第108条に定める賃金台帳に関し、同法施行規則第54条第1項においては、使用者は、同法第33条若しくは同法第36条第1項の規定によって労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数を、労働者各人別に、賃金台帳に記入しなければならず、また、同様に、基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額も賃金台帳に記入しなければならないこととされている。
 ある会社で労働協約により6か月ごとに6か月分の通勤定期乗車券を購入し、それを労働者に支給している。この定期乗車券は、労働基準法第11条に規定する賃金であり、各月分の賃金の前払いとして認められるから、平均賃金算定の基礎に加えなければならない。
 通勤手当は、労働とは直接関係のない個人的事情に基づいて支払われる賃金であるから、労働基準法第37条の割増賃金の基礎となる賃金には算入しないこととされている。
 労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当であるが、その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因としたものである場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。
 A 一つ  B 二つ  C 三つ
 D 四つ  E 五つ  
 解答  C

問4
〔問〕  労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A  労働基準法第24条第2項に従って賃金の支払期日が定められている場合、労働者が疾病等非常の場合の費用に充てるため、既に提供した労働に対する賃金を請求する場合であっても、使用者は、支払期日前には、当該賃金を支払う義務を負わない。
B  労働基準法第26条の定める休業手当の趣旨は、使用者の故意又は過失により労働者が休業を余儀なくされた場合に、労働者の困窮をもたらした使用者の過失責任を問う、取引における一般原則たる過失責任主義にあるとするのが、最高裁判所の判例である。
C  労働基準法第26条にいう「使用者の責に帰すべき事由」には、天災地変等の不可抗力によるものは含まれないが、例えば、親工場の経営難から下請工場が資材、資金の獲得ができず休業した場合は含まれる。
D  事業場における一部の労働者のストライキの場合に、残りの労働者を就業させることが可能であるにもかかわらず、使用者がこれを拒否した場合、もともとはストライキに起因した休業であるため、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」による休業には該当しない。
E  いわゆる出来高払制の保障給を定めた労働基準法第27条の趣旨は、月給等の定額給制度ではなく、出来高払制で使用している労働者について、その出来高や成果に応じた賃金の支払を保障しようとすることにある。
 解答  C

問5
〔問〕  労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 労働基準法上の労働時間に関する規定の適用につき、労働時間は、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も、通算される。
 労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働基準法上の労働時間とみるべきか否かについては、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や、教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か等の観点から、実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきものである。
 労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1ヵ月単位の変形労働時間制については、いわゆる労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより同条記載の一定事項について定めをすることが要件とされており、同法第38条の4に定めるいわゆる労使委員会の委員の5分の4以上の多数による議決による決議によってこれを行うことは認められていない。
 労働基準法第32条にいう「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしない。したがって、例えば、運転手が2名乗り込んで交替で運転に当たる場合において運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠をとっているときであってもそれは「労働」であり、その状態にある時間は労働基準法上の労働時間である。
 労働基準法第34条に定める「休憩時間」とは、単に作業に従事しないいわゆる手待時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいう。
 解答  C

46労働基準法及び労働安全衛生法

問6
〔問〕  労働基準法に定める休暇、休業等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 労働基準法第39条の趣旨は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活の実現にも資するという位置づけから、休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与えることにある。
B  最高裁判所の判例は、「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨である」と述べている。
C  労働基準法第39条第6項に定めるいわゆる労使協定による有給休暇の計画的付与については、時間単位でこれを与えることは認められない。
 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。ただし、その者について医師が他の軽易な業務に転換させなくても支障がないと認めた場合には、他の軽易な業務に転換させなくても差し支えない。
E  労働基準法第68条に定めるいわゆる生理日の休暇の日数については、生理期間、その間の苦痛の程度あるいは就労の難易は各人によって異なるものであり、客観的な一般的基準は定められない。したがって、就業規則その他によりその日数を限定することは許されない。
 解答  D

問7
〔問〕  労働基準法に定める就業規則等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
 労働基準法第89条に定める就業規則とは、労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について定めた規則類の総称である。
 労働基準法第89条に定める就業規則の作成義務等の要件である「常時10人以上の労働者を使用する」とは、10人以上の労働者を雇用する期間が一年のうち一定期間あるという意味であり、通常は8人であっても、繁忙期においてさらに2、3人雇い入れるという場合も、これに含まれる。
 労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部、又は、同条第3号の2以下の相対的必要記載事項のうち当該事業場が適用を受けるべき事項を記載していない就業規則は、同条違反の責を免れないものであり、労働基準法第13条に基づき、無効となる。
 労働基準法第32条の3に定めるフレックスタイム制の対象となる労働者については、就業規則において始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨の定めをし、また、フレックスタイム制においてコアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合には、これらに関する事項を就業規則で定めておけば、労働基準法第89条第1号に定める「始業及び終業の時刻」の就業規則への記載義務を果たしたものとされる。
 労働基準法第90条に定める就業規則の作成又は変更についての過半数労働組合、それがない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴取する義務については、文字どおり労働者の団体的意見を求めるということであって、協議をすることまで使用者に要求しているものではない。
 A (アとイ)  B (イとウ)  C (ウと工)
 D (エとオ)  E (アとオ)  
 解答  B

〔問8〕〜〔問10〕は、労働安全衛生法
問8
〔問〕  労働安全衛生法の総則等に関する次の記述のうち、労働安全衛生法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
 労働安全衛生法では、「事業者」は、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」と定義されている。
 労働安全衛生法第3条第3項においては、建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者について、「施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。」と規定されている。
 労働安全衛生法第122条のいわゆる両罰規定について、事業者が法人の場合、その法人の代表者がその法人の業務に関して同条に定められている各規定の違反行為をしたときは、当該代表者が「行為者」として罰せられるほか、その法人に対しても各本条の罰金刑が科せられる。
 労働安全衛生法第29条第2項には、元方事業者の講ずべき措置等として、「元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行わなければならない。」との規定が置かれており、この規定の違反には、罰則が付いている。
 労働安全衛生法第3条第2項では、機械、器具その他の設備の製造者の責務として、機械、器具その他の設備の製造に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない旨が規定されている。
 A 一つ  B 二つ  C 三つ
 D 四つ  E 五つ  
 解答  C

問9
〔問〕  労働安全衛生法に定める安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、総括安全衛生管理者の解任を命ずることができる。
 安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。
 事業者は、産業医を選任すべき事業場以外の事業場については、労働安全衛生法第13条第1項に定める労働者の健康管理等(以下本問において「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師又は労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する保健師に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない。
 事業者は、常時1,000人を超える労働者を使用する事業場にあっては、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければならない。
 事業者が労働安全衛生法第17条の規定により安全委員会を設置しなければならない場合、事業者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときを除き、その委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
 A (アとイ)  B (イとウ)  C (ウとエ)
 D (エとオ)  E (オとア)  
 解答  E

問10
〔問10〕  労働安全衛生法に定める安全衛生教育等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 建設業に属する事業を行う特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われるときは、当該場所の状況(労働者に危険を生ずるおそれのある箇所の状況を含む。以下本問において同じ。)、当該場所において行われる作業相互の関係等に関し関係請負人がその労働者であって当該場所で新たに作業に従事することとなったものに対して周知を図ることに資するため、当該関係請負人に対し、当該周知を図るための場所の提供、当該周知を図るために使用する資料の提供等の措置を講じなければならない。ただし、当該特定元方事業者が、自ら当該関係請負人の労働者に当該場所の状況、作業相互の関係等を周知させるときは、この限りでない。
 労働安全衛生法第59条及び第60条の安全衛生教育については、それらの実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該教育が法定労働時間外に行われた場合には、当然割増賃金が支払われなければならない。
 労働安全衛生法第60条に定める職長等の教育に関する規定には、同法第59条に定める雇入れ時の教育(同条第1項)、作業内容変更時の教育(同条第2項)及び特別の教育(同条第3項)に関する規定と同様に、その違反には罰則が付けられている。
 事業者は、所轄都道府県労働局長が労働災害の発生率等を考慮して指定する事業場について、労働安全衛生法第59条又は第60条の規定に基づく安全又は衛生のための教育に関する具体的な計画を作成しなければならず、また、当該事業者は、4月1日から翌年3月31日までに行ったこれらの規定に基づく安全又は衛生のための教育の実施結果を、毎年一定の期日までに、所定の様式により、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
 労働安全衛生法第59条第1項に規定するいわゆる雇入れ時の安全衛生教育は、派遣労働者については、当該労働者が従事する「当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項」(労働安全衛生規則第35条第1項第8号)も含めて、派遣元の事業者がその実施義務を負っている。
 解答  C

45択一式労働基準法及び労働安全衛生法
46労働基準法及び労働安全衛生法

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